敷金について知っておくべきこと(その1)

賃借人に不利な清算方法

実費精算の場合、実際に原状回復に必要な額を敷金から支払い、敷金が余れば返還され、足りなければ更に支払うという流れなので、入居者に一方的に不利な契約内容ではなさそうです。とは言っても、本来、賃貸人が負担すべき費用が賃借人に請求される場合も多いです。

これに対して、敷引き清算の場合、現状回復費用が敷引き金額より安くても、その分多く入居者に返還されることはなく、現状回復費用が敷引き金額より多くかかる時は、敷引き額を超える額も入居者が負担するのです。

例)敷金は家賃の5ヶ月分(25万円)、敷引き3ヶ月の場合
・原状回復費用が10万円なら、25万(敷金)−15万(敷引き3ヶ月)=10万円が返還される
(実費精算ならば、25万(敷金)−10万(実費)=15万円返還される)
・現状回復費用が20万なら、25万(敷金)−15万(敷引き3ヶ月)−5万(敷引きで足りない費用)=5万円が返還される

上記のように、原状回復費用が敷引き金額より安く済んでも、入居者に多く敷金が返還されることはないのに、原状回復費用が敷引き金額より高くなる場合は、敷引き金額を超える費用も入居者が負担するなんて、不公平ですよね。

そもそも何故こんな契約が主流になったのかというと、敷金の清算をスムーズにするためでした。

敷引き契約にしておけば、原状回復の見積もりを取らなくても敷金の精算ができるので、入居者に早く敷金が返せる!
というのが建前で、”ぶっちゃけ敷金3ヶ月分もあれば通常の部屋のリフォームには足りるし、むしろお釣りがくるくらいだし、面倒な敷金精算の計算とかも省けるし、仕事が捗るわぁ〜”ということです。

敷金精算については、国土交通省のガイドラインがありますが、その内容を熟知している人は不動産屋で清算業務をしている人の中でも少ないでしょう。ガイドラインよりも、その不動産屋が今までやってきたやり方で処理されている事が多いと思います。

だから当然のように、畳の表替えやふすまの張り替え、クロスの張り替えや清掃費用は入居者負担で清算されます。
しかも、請求される費用の明細もなしに、勝手に敷金から清算されることが多いのです。
敷金はそもそも、家賃の滞納や退去時の原状回復を担保するために、入居時に借り主が貸し主に提供する金銭で、支払った時点では預かり金のはずです。あなたが担保として預けたお金なのに、「退去する時には勝手に○○円もらいますね、明細はありません」なんて許されるんでしょうか?許されているのが現状ですが…

敷金について知っておくべきこと(その3)

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